YTAメモ

20世紀を生き抜くための「心」・「技」・「体」その17

1996年12月14日

  

「はじめに」

先月(11月)から厚生年金の負担が増えました。上げ幅は大きくないかもしれませんが、毎年確実に負担が増えています。将来自分が年金をもらうつもりで負担しているため税金よりは抵抗が少ないようです。

もっとも、本当に受給を受けられるのは団塊の世代までといった見方もあり、今の財政状態や税金のムダ遣いを見ているともっと上の世代の年金受給権もあぶないのではないか、という気がします。厚生年金の制度ができたのは第2次世界大戦が始まり、軍費調達の必要に迫られたからだ、という指摘があります。国は社会福祉の充実という美名のもとに20年後、30年後にやっと返済の始まる借金のしくみ(年金)を考え出しました。返済期限の到来した(年金受給者となった)人には、まだ働いている人(年金の負担者)から借りて返すといういわば自転車操業です。最初は返済よりも借金の方が多いから余った資金をほかに使っていました(公共投資)。経済成長が進み団塊の世代が負担者の間は負担者が多く年金財政は賄えるのですが、受給者が増えて負担者が少子化で相対的に減ってくれば年金財政は破綻します。日本紡績業厚生年金基金のようにすでに破綻、清算してしまったところもあります。とりあえずは負担割合をあげたり、返す必要のない資金調達(税金)で賄うことになりますが、いずれ足りなくなるでしょう。
 じゃあどうするのか。年金をアテにしない生き方、国に頼りきらない心構えが必要なのではないでしょうか。具体的にどうすればいいのか、解決策が用意できるわけではありませんが、私は「Y.T.A.メモ」その10(1996.2.2)「心」21世紀はどういう世の中になってほしいか、だと思っています。病気がなくなれば医者はいりません。病気がなくなれば国家予算に大きな比重を占める医療費用の負担がなくなります。これから高齢者が増えて医療負担がもっとかかるという議論は、裏返せば病気はなくならない、病気は治らないという認識になります。乱暴な言い方ですが治らないのなら医療にお金を使うことは無駄な支出でしょう。「病は気から」病気は無意識のうちに自分で作り出しているのだ、という指摘があります。人間の意識が向上して病気を克服できるようになれば税金も少なくてすみ、税理士が必要なくなるかもしれません。さらにすすめば国という組織自体が必要とされなくなるのではないでしょうか。話が脱線しましたが、年をとって仕事からリタイヤしたら年金の足りない分を農業をやって暮らせる世の中になればいいな、と思います。

「技」税金の使い途について考える

a.週間ダイヤモンド11/30号の特集「税金究極の無駄づかい」によれば「農道空港」に農水省と地元自治体が100億円以上を投資して4空港が開業、5空港が建設中であるという。詳しくは別紙レポ-トをみていただくとして、この話は11月29日のNHK特集「日本の選択 借金大国ニッポン」でもとりあげられたのでご存知の方も多いのではないだろうか。ちなみに、週間ダイヤモンドのライバルの週間東経済12/14号も「税金をむさぼる者たち」という特集を組んでいる。

b.農水省が予算消化のためにむりやり作った事業としか思えないが既得権は絶対に手放さない、予算を削られるなどもってのほか、という省益エゴがはびこっている。

c.行政改革について考えるとき、公務員の人件費が多すぎるのではないかと思って調べようとしたことがある。ところが、税金の使い途である歳出の内訳は社会保障関係費、公共事業関係費、国債費などの目的(効果)別のものであったり、皇室、文部省、厚生省といった部署(所管)別のものであったりして、人件費、補助金といった項目(使途)別の内訳が出ていない。会計検査院の平成4年度決算検査報告書(平成6年3月30日発行)を購入して調べてみたが「人件費」という項目は出てこない。平成8年度一般会計予算書、特別会計予算書には掲載されているかも知れないが定価が18,100円、17,600円もするものでとても個人が入手できるような代物ではない。どこかにないか、と探していたら平成8年度財政関係資料集(平成8年3月15日発行:定価2,200円)のP7に人件費(当初ベ-ス)がのっていた(別紙1)。

d.歳出予算75兆1,049億円のうち4兆1,977億円が議員歳費も含む総人件費で歳出予算の5.6%となっている。歳出の27.3%を占めるのが補助費(金)・委託(地方公共団体等への)費の20兆74,887億円。他会計へ繰り入れは43兆4,792億円で歳出の57.9%である。他(特別)会計の主なものは地方交付税、年金、健保、食糧管理、国債管理等々である。構成割合でみると、人権費や庁費、旅費、施設費などの役所の費用は1割強。9割近くは補助金などの政治目的に使われていることになる。

e.歳出予算の「その他3兆2,357億円(4.3%)の内訳に「出資金」があげられている。衆議院議員の石井紘基氏によれば、建設省が運輸省と共管(出資)する特殊法人「住宅都市整備公団」が出資する株式会社(これは民間企業)に資本金3億6,000万円の日本総合住生活・があり、同公団が発注した工事の半数以上を落札していたという(別紙2)。なお、住宅都市整備公団法第31条には建設大臣の許可を受けて出資できる旨の規定があるそうで、出資は合法、ほかの民間企業といっしょに競争入札をして半数以上を落札してもそれは企業努力(?)だから問題はないと答弁しているようです。

f.民間企業も、関連子会社をつくって関連事業を取り込むことはよくある話ですが、補助金(モトをただせば税金)事業で関連会社をつくられたら他の民間企業は勝負になりません。

g.税金の使い途は特別会計をつくったり、特殊法人に補助金を支給したり、といった手続きをふんで使わているため実態がつかみにくい。それぞれの事業を個別に把握できるようにという趣旨からはじめられたものであろうが、必要なくなった事業であっても廃止できないような構造を作ってしまったのではないだろうか。

h.税金の使われ方は取られ方以上に複雑で、税理士のような需要もないため国民のほとんどが理解していない。最近「あなたの隣の大問題 日本の国家予算」という本が出版された(吉田和男監修:1996年5月22日初版・講談社定価1600円)。住専国会で問題となった6,850億円は緊急金融安定化資金という名称で予算化されているという(P48、別紙1参照)話や日本の道路の舗装率が欧米諸国と比べて低いのは道路の定義が違ってるからだ(欧米では舗装した道路が道路で舗装していない道路は道路ではないらしい)といった話が紹介されている。

「体」濱野恵一「脳とテレパシ-」(河出書房新社・夢新書:1996年6月1日初版)より

a.オ-ストラリア原住民(アボリジニ)やウガンダの妊婦たちは出産直前までいつもと同じように働き、自然分娩によって20分ほどで出産をすませ、1時間以内にはふだんの生活に戻る、という。

b.彼女たちの新生児は生まれて2日目には首がすわり、腕を支えてやればお座りもでき、4日目にはもう笑いはじめる子さえいる。出産後、母親はいつも子供を胸の前につるすか、背中にオンブするかして働く。

c.驚くべきことに、新生児はオシメをしない。垂れ流しにしているのではない。母親は事前に子供の排便要求を察知して、さっさと済ませてしまう。授乳も事前に察知してしまうので、子供たちはほとんど泣くことがない。子供たちは活発な生活を送る。

d.これは母子交感とよばれ、出生前2カ月頃から胎児は母親と感情の共有、交流が出来るようになっている。母子の意思の疎通は直感的に行われ、言葉を必要としない。そして、これは本質においてテレパシ-と同じであろう。

e.母親の精神状態が不安定なときは、恐怖や不安と関係のあるカテコ-ルアミンという物質が母胎内に分泌され、胎盤を通過して胎児を不安に陥れるという。この状態が長く続くと、知的発達にとって大切な交感の確立が難しくなる。だから、妊娠中の女性は、ゆったりと心をくつろがせていることが大切になってくる(p123-125、p194-195)。

f.オシメを必要としないアボリジニの母親たちと漏らしてもきちんと吸収して濡れないオシメをつけさせる日本の母親と新生児にとってはどちらがよいのでしょうか。あなたはどうおもわれますか。

「心」天外伺朗「理想的な死に方」(徳間書店:1996年10月31日初版)より

 

a.本の腰巻きに「あなたはマハ-サマディ(至福死)かスパゲッティ(苦悶死)か」と書いてある。

b.ヒンドゥ-教の僧侶は、自分の死期を知るとパ-ティを催し、挨拶の後瞑想に入りそのまま亡くなるのが一般的であるという。これを「マハ-サマディ」という。マハ-は摩訶般若の摩訶で「偉大な」という意味。サマディはゴルフ三昧(ざんまい)、釣り三昧などの三昧で何かに夢中になって没頭する様を言うが本来の意味は、座禅などで深い瞑想状態に入ることを意味している。「マハ-サマディ」は仏教の僧侶やアボリジニなどにも同様な死に方の例があるという。

c.医療技術の発達により平均寿命が伸びたが、一分でも一秒でも延命することが医療行為の使命のようになってしまい、集中治療室で死ぬ人も多い。消化器を経由しないで栄養を静脈から直接補給したり、各種の薬品を点滴で供給したり、尿や膿を管により直接的に排出したり、自発的な呼吸が困難な場合には気管を切開して管を入れ、強制的に機械により呼吸をさせるといった技術が開発されている。患者は朦朧とした意識の中で管を抜こうともがくため、両手はベッドに縛り付けられてしまう。これを俗に「スパゲッティ」という。

d.春山茂雄氏の「脳内革命」で紹介された脳内モルヒネのβ-エンドルフィンは、死ぬときにも分泌されるため、人間は苦しまずに死んでいける。集中治療室でモルヒネの投与を受けているとβ-エンドルフィンを分泌する必要がないので分泌機能が停止してしまい、死ぬときに出なくなってしまう。苦痛を和らげる脳内モルヒネが出なければ苦痛にさらされるから「苦悶死」ということになるようである。天外氏はβ-エンドルフィンが極めて大量に分泌され、身体の隅々にまで行き渡ると一種の防腐剤のような効果がでて遺体が腐らなくなる(ミイラになる)、と考えている。中国広東省南華寺に安置されている慧能(638-713)は「マハ-サマディ」で亡くなり、今でもまるで生きているような姿をしたミイラで、霊験あらたか、と信じられている。

e.天外氏はβ-エンドルフィンが大量分泌される状態を次のように分類している。

(1).ランナ-ズ・ハイ(走者がレ-ス中に苦しさがなくなり、ポワ-ンと恍惚感に包まれる状態)

(2).難行・苦行、滝行、断食業など

(3).瞑想法、座禅、気功法、ヨ-ガ、呼吸法など

(4).楽器演奏(特に管楽器)

(5).セックス(女性のみ)

(6).死ぬとき、または死にそうになったとき

f.天外氏は、1997年1月1日より人類が最も自然な死を思い出すための研究会「マハ-サマディ研究会」を発足させる予定で現在会員を募集している(年会費12,000円)問い合わせはTEL:03-3269-1515山平松生まで

g.死に方ではないが、私の両親は「尊厳死の宣言書」にサインをして日本尊厳死協会に登録している。宣言書は徒に死期を引き延ばすだけの延命措置を拒絶し、苦痛を和らげる処置は最大限求めている。

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