昭和29年6月、本田宗一郎は欧州視察に出かけ、工場に落ちていたクロス・ネジを持ち帰る(クロス・ネジは1935年、ヘンリー・F・フィリップスが発明)。器械によるネジ留めが可能となり、作業効率の大幅なアップをもたらした。当時、日本にはマイナス・ネジしかなかった。ネジの中心が固定しないから、ドライバーが溝から滑る。回す力がブレて、ネジの溝が潰れてしまう。溝をクロスすることでネジの中心が決まり、回転力が正確に伝わるようになった。情報(データ)も複数の視点からアプローチすることでより精度が増してくる。

 平成30年10月 今月の心・技・体 イメージ図