○司馬遼太郎著「坂の上の雲」文春文庫第八巻p59より
☆東郷は若いころから運のついた男ですから。
*山本権兵衛海軍大臣が明治帝に対し、東郷平八郎を連合艦隊の総帥にえらんだ理由としてのべた言葉。東郷は日露戦争日本海海戦でバルチック艦隊を破り日本の勝利を決定づける。日露戦争開戦前、東郷は舞鶴鎮守府長官という閑職にあった。その東郷を連合艦隊司令長官に抜擢した理由が「運のいい男」であった。名将ということの絶対の理由は、才能や統率能力以上に彼が敵よりも幸運にめぐまれるということであった。悲運の名将というのは論理的にありえない表現であり、名将はかならず幸運であらねばならなかった。