20世紀を生き抜くための「心」・「技」・「体」その23
はじめに
★ 「省庁再編」論のなかで橋本首相から「将来、国税と地方税の徴収事務を一体化したい」という話といっしょに「国税庁を分離すべきだ」という発言が出たそうです。これは水野清首相補佐官の「国税庁は一種の経済警察だから、大蔵省から離した方がいい」という発言に応ずる形で首相が発言し、その理由として「大蔵省が国税調査権を使って、実質的な権力を行使しているのではという疑念を晴らすため」と説明したそうです。 1997.8.27付毎日新聞社説によれば、国税庁には大蔵省から長官以下多くの職員が送り込まれており政治家や企業などに特定の目的で税務調査という圧力をかけることがある、という声が絶えない。中立・公正な機関として、総務省の外局という位置づけも可能になるのではないか、との意見が述べられています。また、別冊宝島No.244「大蔵官僚の病気」服部五郎執筆「審議会にマスコミをとりこむ大蔵省のすご腕」p135-p147によれば大蔵省批判に対して、まず審議会の委員への就任要請とか特ダネ情報のリ-クといったエサで取り込みにかかり、そういう搦め手がうまくいかない時に抑え込む「切り札」として「国税庁」が登場するそうです。大蔵省批判と税務調査の間の因果関係は立証されたわけではありませんが(そんなことは不可能)大蔵省から税務調査という圧力をかけられたと受けとめている納税者がおり、そのような圧力が存在するかもしれない、という疑念を橋本首相が認めたことになります。たとえば住専から多額の借入をしながら返済をしない末野興産の立ち入り調査をしたのは大阪国税局でした。目的は債権を保全するための財産の把握であり、法人税の申告が正しかったかどうか、などという税務調査本来の目的は後回しにされていたように思います。住専が民事裁判の手続きに従って債権の保全をはかろうとすればもっと時間と労力がかかったはずです。住専の不始末の尻拭いで税金の負担を強いられた国民としては回収がはかどったと感謝すべきでしょうが、別件調査(捜査)という側面は評価の分かれるところでしょう。税務調査は納税義務を公平に負担しているかどうか、租税回避をしていないかどうかを確認するための行政処分であり、納税者が確定申告した内容について申し開きをするものです。納税義務から派生するものであるため日延べ等多少のわがままは言えても調査は受忍しなければなりません(警察の取調に対する黙秘権とは違います)。 毎日新聞社説は総務省の外局という位置づけを考えていますが、私は国税局(税務署)の仕事のうち調査に関する部分を大蔵省から切り放し、会計検査院の外局として位置づけた方がよいと思います。納税者からの申告書を受理したり、税金の督促等の徴収事務、申告の指導や相談、税務広報活動などの業務は大蔵省の管轄とし、税務調査は申告納税の検査機能だから会計検査院の仕事にするわけです。会計検査院は税務署の仕事もチェックしていて、税務署の調査・指導で修正申告した書類に計算違いがあって会計検査院から指摘を受けたので再修正申告書を出してくれ、と税務署が言ってきたことがあります。つまり、納税者が提出した確定申告書を税務署がチェックし、さらにそれを会計検査院がチェックするということになっています。それなら、会計検査院が直接チェックしたほうがいいでしょう。会計検査院の組織をもっと大きくして税務調査機能をもたせて、税金をきちんと公平に負担するよう納税者の調査もするが、税金の使い途についてもしっかり調べる。税収などの歳入と補助金などの歳出、その両方を監視する仕組みに国家組織を組み替えさらに言えば、会計検査院を主権者である国民(納税者)が監視するべきだと思います。
「体」佐田欣夫(さたよしお)著「ヘルス&ハピネス」(1997.6.17初版:総合法令出版、本体1600円+税)
★a.YTAメモ3「呼吸について考えてみる」で左手親指第一関節と第二関節の間、指の背側と腹側との境目のところ、指の外側の方に呼吸のツボがあり、ここを刺激するとゆったりとした深い呼吸ができるという話を紹介した。このツボを見つけたのが佐田氏である。
★b.この本は佐田氏が自分の健康法について述べているもので、結果が良ければそれでよいではないか。しかも、手軽にできるものという考え方で自分や家族などまわりの人に実践して効果があったものをいくつか紹介している。
★c.ある人が40度以上の高熱を出して苦しんでいるとき、その人の頭にキャベツの葉4枚ほどでぐるっとおおうように巻いてガーゼで締めたところ一晩で熱が下がり、身体も元気になった。キャベツの葉は40分おきぐらいに取り換える。キャベツの持つ「自然」の力が呼吸を深くして治るのだから冷蔵庫で冷やす必要はない。赤ん坊にはレタスが効果的。白菜はなぜか効果がない。化学繊維でくるむと効かない(p18ーp24)。
★d.漢方薬店で売っている乾燥ミミズの粉末も効果がある。親指3分の2ぐらいの量を1回分として熱湯にいれ10分ぐらい沸騰させて飲む。塩を少しいれると効果があがる。8時間おきに一日3回飲む。体調が悪い間は昆布茶のような味がしてうまい。ところが体調が良くなるとまずくて飲めなくなる(p24ーp25、p95ーp197)。
★e.足の指の脇のところをはさんでコチョコチョというぐあいに動かす。1分間に80回から90回ぐらいゆっくりとしたスピードで、押さずにやさしくさわって5ミリずつ左右に動かすのが秘訣で、一日30分ぐらい、毎日、1カ月ほど続ける。手足の末端の毛細血管の血液の流れが良くなり、体内から多量のガスがでる。血圧が正常になり、腸の働きが良くなるのでアトピーや花粉症が改善される。このコチョコチョといっしょに生のこうじ菌を朝夕毎日食べ続けると効果的である。こうじは熱を加えると効果が半減してしまう。また、日本酒はこうじを使って作られているがアルコ-ルでこうじが死んでしまっているので効果はない。こうじは食欲が落ちるような病気のときでも不思議とノドを通る。唾液もいっぱい出てくるので女性の肌もツヤツヤしてくる。長寿法の一つとしてもお薦めの食べ物である(p60-p63.p148、p104-P107、p160-p167)。
★f.ノドぼとけを一日2回に分けて150回毎日やさしくなでる。甲状腺が刺激されてホルモンの分泌が正常になり、カルシウムの吸収がよくなって骨粗しょう症がよくなる(p154-p155)。
★g.「ひきつけ」や「てんかん症」を治すには手と足のふくらはぎ(特に手)を一本5分やさしく揉むようにするとよい(p146-p147)。
★h.クマザサ汁(青汁)は「緑の血液」とも呼ばれ、サンクロンという熊笹汁をキャップ1杯飲ませると血液の病気になったとき、出血を止める。血便や血尿に効果がある。腎臓の病気にも良い(p142-p143、p174-p177)。なお、3年前、金城同為会の工場見学旅行で出かけた時に紹介した医薬品は「松寿仙」といい、赤松葉エキスにニンジンエキスと熊笹汁を加えたものである。
「技」交際費手当で感じたこと。
★a.先日、決算報告でお客さんの所へ出かけたとき社長さんから商社など大会社の接待交際費の話を聞かせてもらった。
★b.それによれば、商社に勤める社長の友人は「交際費手当」という別枠の給料をもらっていて、それを営業活動などで必要な交際費にあてるのだそうです。
★c.交際費で使ってしまう、という前提で渡すものであるため後で「交際費として使った」という報告義務があり、領収書を集める(もらっておく)のが大変だそうです。
★d.交際費課税は昭和29年租税特別措置法に盛り込まれたもので、資本金5000万円を超える企業は使った交際費が全額損金とならない。例えば売上から経費を引いた当期利益が1000万円。経費の中に交際費1000万円が含まれていれば課税所得は2000万円。税金で約半分を納税することになる。資本金1000万円までの会社は400万円、1000万円を超え5000万円までの会社は300万円の交際費の損金認容枠が認められていて、そのうち支払った交際費の1割が損金を否認される。
★e.前出の商社では交際費を使っても使わなくても税金が変わらない、ということになる。それなら給料に交際費を上乗せして支払い、社員の交際費として使わせてしまえば税負担が少なくてすむ。本来の給料に手当が上乗せされた分だけ社員の税金が増えるかもしれないが法人に比べればはるかに安上がりである。
★f.交際費手当というしくみが普及すればするほど結果的に得をするところがある。国から給料をもらっている公務員で、給料は人事院勧告によって決まる。人事院は、企業規模100人以上、かつ、事業所規模50人以上の事業所の民間給与と均衡させることを基本に勧告が行うが、調査で交際費手当は本来会社の接待交際費で労働の対価ではない、という区別はしてもらえないから給料が過大に評価され公務員の給料にはね返る、ということになる。
「体」村上和雄著「生命の暗号」(1997.6.25初版:サンマ-ク出版、本体1600円+税)
★a.一つの細胞の中心には核があって核膜でおおわれており、その核の中に遺伝子がある。元をたどればこのたった1個の細胞(受精卵) からスタ-トして今のあなたがある。
★b.1個の受精卵が2個に、2個が4個に、4個が8個に、8個が16個に……と細胞が次々に分裂を繰り返し、途中からは「おまえは手になれ」「おまえは足になれ」「俺は脳にいく」「俺は肝臓になる」と、それぞれ手分けして母親の体内でどんどん分裂を続けて、十月十日で出産、細胞数約3兆個の赤ちゃんの姿になってこの世に誕生する。
★c.人間は約60兆個の細胞から成り立っており、この細胞1個1個に、例外を除いて全て同じ遺伝子が組み込まれている。爪の細胞の遺伝子も髪の毛の細胞の遺伝子も構造やはたらきは基本的には同じである。従って潜在能力的には爪の細胞が髪の毛になったり心臓になったりということも可能であるがそうはならない。それは爪の細胞の遺伝子は爪になることはOK、つまり遺伝子をオン(ON)にしているが、それ以外はいっさいダメ、つまりオフ(OFF)にしていると考えられる。(以上p20-p22)
★d.遺伝子(DNA)は4つの塩基(A、T、G、C)と糖(S)、リン酸(P)が結合したもので、二重らせん状になって存在している。遺伝子にはA(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)という4つの化学の文字で書かれた遺伝情報が約30億ある。本にすると千ペ-ジの本千冊分に相当する。
★e.遺伝情報には「こういうときにはこうはたらけ、こういうときは眠っていろ」という指令情報もある。たとえば、人間は思春期になると性ホルモンが分泌される。それまでOFF状態だった性ホルモンの遺伝子がON状態になってはたらき出す。おっぱいがふくらんできたり、髭が生えてきたりというように一定の時間がたつとはたらき出す遺伝子もある。
★f.大きな精神的ショックで一晩で白髪になったり、髪の毛が抜けてしまうというのは、髪の毛のタンパク質をつくり続けてきた遺伝子が急にOFFになった、あるいは老化用の遺伝子がONになったとしか考えられない。
★g.遺伝子には、ONにしたほうがいい遺伝子と、OFFにしたほうがいい遺伝子がある。理想はわるい遺伝子をOFFにして、いい遺伝子をONにすることである。その秘訣は、物事をよいほうへと考える、つまりプラス発想が非常に大切になってくる(p41-p42、p36、p56)。