YTAメモ《暫定》版
幕内秀夫著「粗食のすすめ」2000.10.10発行新潮OH文庫より
★お久しぶりです。ご無沙汰してしまいましたが、21世紀いかがお過ごしですか。こちらは確定申告期が過ぎ、やっと落ち着いたところです。最近、本屋さんへ行くと文庫本の充実が目を引きます(もう何年も前からかもしれませんが)。前から読んでみようかと思っていた本が文庫本として刊行されたり、書き下ろしで出版されたりしています。一昨年から老眼鏡のお世話になり、文庫本の活字が裸眼では読みづらくなってきたのが残念ですが廉価でコンパクト、ありがたい話です。
今回はそんな文庫本の中から幕内秀夫著「粗食のすすめ」2000.10.10発行新潮OH文庫からメモをつくってみました。内容的に雑学っぽく、話のネタになりそうだったので「語録」ふうにまとめてみました。残念ながら時間が足りず納得のいく仕上がりではありませんが、暫定版としてお送りいたします。(ひょっとして、もうこれ以上まとめないかもしれませんが食生活見直しの一助となれば幸いです)。
上記図書は当初1995年7月東洋経済新報社から出版されました。なお、同書の実践版として1996年7月「粗食のすすめ実践マニュアル」が出版され、これは2000.12.20講談社α文庫として文庫本化されています。
★「アメリカ議会が2年間の歳月と莫大な予算を使って医療が進歩しているのに何で病気が増えるのか、調べたんだそうです。5000ページを超えるレポートになったんですが原因はたった一つ〈毎日の食生活に無関心だったため〉という結論がでたそうです」p83
*先進諸国の食事は、我々が気づかないうちに非常にアンバランスで内容の悪い不健康な食事になってしま った。食事の悪さが病気多発のもっとも大きな原因だ、と締めくくっている。
★「我々が生まれたときは3㎏前後です。それが大人になると50㎏とか60㎏になります。その増えた分は食物以外の何物でもありません。その積み重ねが今の体になっているわけで、積み重ねに間違いがあればどこかで異常がでてきます」 p84-85
★ 「書店に行くと〈○○で健康になれる〉〈○○で痩せる〉〈○○で病気を治す〉・・・といった本がたくさん出ています(調べてみたら約100種類あった)。それぞれ効能があるし、実績もあるんでしょうが、〈これさえあれば・・・〉というのは感心しません。こういう本に飛びつく人に限って日々の食生活を改めようとしません。いろいろなビタミンが不足するような生活をしながら、高価なビタミン剤をせっせと胃袋に流し込んでいたりします。そして、ある一定の食物を大量に食べたり飲んだりすることや、いわゆる健康食品、ビタミン、ミネラル類を摂取することが、すなわち食生活を変えることだと勘違いしています」p85-88
ただし、これは易にのみ当てはまることではない。他の占いにおいても、記号の意味を読み取る際に行われていることは、これと同じである。p130
★「あるテレビ番組から出演依頼があり局で打ち合わせをしたんですが、途中で帰ってしまったことがあります。マスコミは〈食生活〉を取り上げようとしません。これさえ食べれば健康になれる、そんな魔法の食物を取り上げることしか考えていません。これは視聴者の側の問題でもあります。このような一品健康法を追い求める人は食生活そのものを決して見直そうとしません。少し食生活を見直すだけで健康を回復できる場合が少なくないのに、わざわざ遠回りをして健康を維持している人たちのなんと多いことか」p193-194
★「私(幕内氏)も研究のため飲尿療法(自分の尿を飲む)などいろいろな健康法を試してみました。それをしていて思ったことは〈こんなことまでして病気を治そうという気があるのなら、治っても不思議ではない〉ということでした」p195
★「食にばかりこだわってもダメなんだよ。病気の原因はすべて食事にあるという健康法を実践している合宿の食事を見学したんだよ。そしたら、みんな話もせずに黙々と口を動かしている。一口を200回も噛まなきゃいけないんだって。ありゃあ人間の食事じゃないね」p198
★「私(幕内氏)が食事指導している病院にはガン患者がたくさんいます。気功や呼吸法、漢方療法などを取り入れたユニークな治療で知られている病院なのでマスコミの取材を受けたりします。ガン患者さんの中にアイスクリームやチョコレートを食べている人もいて『言ってることと実際は違うじゃないか』と言われることがあります。でも、私自身本当に末期ガンだったら好きなものを食べて死にたいと思っているから、好きにさせています。食事療法をしていた患者さんが死に際に『○○が食べたかった・・・』などと言い残されでもしイヤじゃないですか。健康法の本などに〈これが理想の食生活だ〉などと書いている人は実際に患者さんの指導などしたことがないんじゃないか、と思います」p23
★ 「魚の焼けこげを食べるとガンになるといわれます。これは昭和49年から56年にかけて国立ガンセンターのNさんが実験したもので、魚や肉の焼け焦げから抽出したアミノ酸の結晶トリプP-1、トリプP-2を混ぜたエサをマウスに食べさせたところ、肝臓ガンができた、というものです。実験結果をインパクトのあるかたちで知らせるにはわかりやすいかもしれませんがマウスが食べたのは焼け焦げから抽出した結晶です。魚の焼け焦げではありません」p204-205
*実験については朝日ブックレットNo11「がんと食品」:朝日新聞社参照。
焼け焦げではマウスが食べないから結晶にしたのかもしれませんが、そんなもの人間だって食べません。
★「ほうれん草を食べると腎臓結石になる、というのもよく似ています。ほうれん草から抽出したシュウ酸をマウスに与えたら腎臓結石ができた、というものなんですが、いつの間にかシュウ酸がほうれん草にすり替わってしまいました」p205
★「減塩食品がブームになっています。日本人の死因の上位を占める心臓疾患、脳血管疾患が塩分のとり過ぎによる高血圧のせいだと思われています。実際、脳卒中の死亡率が極めて高かった秋田県では1960年頃行われた減塩運動で、高血圧の人が減り、脳卒中による死亡が激減したことで、減塩の有効性が認められた格好になっています。しかし当時の秋田県では一人あたり一日30g~40gもの塩分をとっていました。現在、日本人の平均摂取量は一日12g。当時の秋田県人は明らかに摂り過ぎだったから効果が上がったのではないでしょうか。逆に塩分が不足すると、食欲不振、倦怠感や疲労感といった弊害がでてきます。多量に塩分を摂る人は別にしてあまり減塩にこだわらない方がよいと思います」p202-203
★「日本や東南アジアは気候が温暖で雨もたくさん降るから植物が育ちます。だから穀物を主食にすることができます。ところがヨーロッパは寒くて雨も少ないから主食にするほど穀物が穫れません。だから肉や食肉加工品、乳製品、野菜と少しのパンを食べていたわけでけっして食べ物が豊かだったわけじゃあありません」p20.p39
*むしろ食生活についていえば東南アジアの方が豊かである
★「ヨーロッパは温度や湿度が低いので東南アジアのような収穫は期待できません。そのかわり草も大きく育たず柔らかいまま成長がストップします。牛や羊などの草食動物にとっては絶好のエサで、おかげで酪農が発達しました」p153-154
★「日本人はカルシウム、カルシウムと騒ぎすぎです。カルシウムといえば牛乳が定番ですが、牛乳は100g中100mgのカルシウムが含まれています。意外と思われるかもしれませんが、同じ100g中、桜エビ2700mg、ひじき1400mg、こんぶ800mg、わかめ1300mg、煮干し2200mgのカルシウムが含まれています」p72
*牛乳のため少し弁護しておくと、牛乳は液体だから水分が大半。単純な比較はできない。「牛乳は完全栄養食品と言われることがあります。〈これさえ食べれば他には何も食べなくても生活できる食物〉のことですが、それはあくまで牛の赤ちゃんにとっての完全栄養食品で、人間にとってではありません
★「母乳はその動物が健康に成長するのに必要なものが全部完全な形で含まれています。それは各動物の母乳成分を比較してみるとよくわかります。例えば成長の早い動物ほどタンパク質やミネラルが多く含まれています。牛は約50kgで生まれ、2年後には500~600kg、
約10倍に成長します。これに対して人間は約3kgで生まれ、2年後では12kg、約4倍にしかなりません。牛は骨格の発達も早くなければならないので母(人)乳の4倍のカルシウム、6倍のリンが含まれ骨(リン酸カルシウム)を形成するのに都合よくできています。」
*子の成長速度と母乳の成分(松村達雄著「母乳主義」より転載)p73①体重が出生時の2倍になるまでの日数②母乳中の蛋白質③母乳中のミネラル
人①180日②1.1%③0.20% 馬①60日②2.0%③0.40%
牛①47日②3.5%③0.70% 山羊①22日②3.67%③0.77%
羊①15日②4.88%③0.84% 豚①14日②5.21%③0.81%
猫①9日②7.00%③1.02% 犬①9日②7.44%③1.33%
兎①6日②10.38%③2.50%
★「人間はほかの動物に比べ成長が遅く、しかも1年も立つことさえままなりませんが、漫然と過ごしているわけではありません。人間というのは体が大きくなることよりも脳細胞の形成を優先させて成長する動物のようです。赤ちゃんの大きな頭がそれを物語っているような気がします。そのためでしょうか、脳細胞の形成に重要だといわれている必須脂肪酸のリノール酸やリノレン酸は牛乳より多く含まれています」p70-72
★「タンパク質は約20種類のアミノ酸が集まってできています。このうち体内で合成することができないものを必須(不可欠)アミノ酸と呼び、これら必須アミノ酸のバランスがいいものが『良質タンパク質』とされます。具体的には肉、牛乳、卵などの動物性食品が優秀とされています。でもここにはからくりがあります。大嶽六郎著『新栄養学』(共同出版)によれば『理想的なタンパク質に含まれる必須アミノ酸の比率や量を決めることは容易には定めがたい。しかし、現実に存在するタンパク質とかけ離れても意味がない。そこでFAO(国際連合食糧農業機構)は現実に存在し、乳幼児も成人もこれを摂取し、しかも栄養価の高い牛乳のタンパク質を取り上げ、これを基準として理想的なタンパク質の必須アミノ酸を決定し、このような組成を有するタンパク質を栄養価比較の標準タンパク質と名付けた』んだそうです。つまり牛乳を標準タンパク質のモデルにしたのだから理想に近いのは当然の話で他の食物に比べてありがたがる必要は全くありません」p212
★「食品成分表を見ると、ご飯一杯177キロカロリーと書かれています。1キロカロリーとは水1リットルの温度を1度上昇させるのに必要な熱量で、食品成分表は、実験用の器具の中で食品を燃焼させて得られたデータに基づいて算出されています。消化吸収能力は人によって、体調や精神状態によっても違ってくるわけで、同じものを同じ量食べたからといって育ち盛りの子供と老人が同じカロリーになるはずがありません」p52
★「○○を食べて痩せる、というダイエットが流行り、いろいろな「○○」が登場しました。これらは「○○を食べて痩せる」のではなくて「○○しか食べないから痩せる」んです。そこを勘違いする人が多いんです」p50
★ 「現代人はビタミン、ミネラルが不足しています。普段の生活では十分に摂ることができません。不足するビタミン、ミネラルを錠剤で補うことも現代人の知恵なのです。よく耳にする言葉でなんですがちょっと待って下さい。それで万全と思わないで下さい。鈴木梅太郎がビタミンB1を発見したとき、他のビタミンはまだ発見されていなかったからビタミンと呼ばれていました。その後、B2、A、C、D・・・様々なビタミンの存在が確認され、それぞれ私たちの生命を維持するのに必要だといわれてきました。もしかしたらこれから別のビタミンやミネラルが必要だということになるのかもしれません。だったらこれさえ飲めば大丈夫だなんてどうしていえるんですか」p199-200
★「ビタミンやミネラルがいくつ、どれだけ必要か、そんなことは殊更に強調する必要はありません。そんなことは知らなくても生きてきたことの方が重要ではないでしょうか。つまり、ビタミンもミネラルも足りていたんじゃないでしょうか」p200
*江戸時代、白米を常食する人たちに脚気が多かった。白米中心の食
生活にしてから脚気が増えたのであり、そうでない頃は脚気になる
ようなビタミン不足はなかったということである。また、アトピー
は昭和45年頃から治らなくなってきた(それまではいつの間にか
治る場合が多かった)そうで、欧米型の食生活が定着した時期に一
致する。p176
★「各種ビタミンやミネラルは〈微量栄養素〉と言われていますが、まだ存在の明かでない微量栄養素も多いと言われています。だから〈不足したものを補う〉というよりも〈不足しない食べ方〉を心がけた方がはるかに効果的です。では、微量栄養素が不足しない食べ方とはいったい何か、といえば〈ムダなく丸ごと食べる〉ことです。皮をムダにしない、内臓もムダにしない。日頃、私たちが捨ててしまっている部分に大切な栄養素が含まれている食物が実に多いんです」p57-58
★「牛乳やチーズあんなバタ臭いものオレの口にはあわないから喰いたかァねェッて言うとカカアが好き嫌いはよくない、偏食はダメだって怒るんだよ。じゃあアメリカ人が納豆を喰えない、みそ汁を飲めないのは偏食じゃないのか、っていうと、そんなもの喰えなくて当たり前だって言うんだよ。ねェどっかおかしいと思いませんか」p90-91、126
★「北極圏に住むイヌイットの人たちは、アザラシや白熊の肉、魚介類が主食で野菜をほとんど口にしません。パプア・ニューギニアの高地で暮らす人たちは一日1kg以上の芋と、少しの豆、野菜という食生活だし、アラビア砂漠のベドウィン族はナツメヤシの実とラクダのミルクがほとんどで他の食べ物は極めて少ない生活をしています。〈バランスのとれた食生活〉からはほど遠い〈偏食〉ですが、そのことでその民族が絶えることはありませんでした。〈多品目の食品をバランスよく食べることが健康の秘訣〉などという考え方に惑わされないようあえて強調しておきます」p90-91、p128
★「歯科医の後藤美基氏が書かれた『聖書の食養生』によれば暴走族の青少年たちと3ヶ月間、山の中で共同生活をされたんだそうです。その期間中、清涼飲料水、チューインガム、菓子類など砂糖の入っているものを一切与えなかったんだそうです。それまでの彼らは粗暴で落ち着きがなく、自分さえよければ他の人がどうなろうとかまわないといった態度をとっていたんですが、1ヶ月もするとすっかり落ち着きを取り戻し、3ヶ月経った頃には以前とはまるで正反対の態度を示す青年に変わってしまったそうです」p120
★「金沢大学医学部の村上元孝教授らが行った実験によれば、ウサギに砂糖を与え、食べたい放題にしたところ、うさぎはあきることなく、目の前に砂糖がある間中食べ続けたそうです。ウィリアム・ダフティ氏は砂糖を〈甘い麻薬〉と言っているんですが、まさにそんな気にさせられる実験ではないでしょうか」p120-121
★「米が穫れず蕎麦を主食にしていた地方があります。そこで食べられている蕎麦には共通点があります。例えば出雲蕎麦、岩手のわんこ蕎麦で、黒っぽくて太くて短いという特徴があります。〈もったいない〉から糠や胚芽も丸ごと食べます。糠や胚芽の部分にはビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。そのかわり、短くブツブツと切れやすく長くのばせません。色も黒ずんでいます。旅先でそういう蕎麦やうどんを食べる機会があったらこの話を思い出して下さい。その地方の食文化を理解できるのではないでしょうか」p135-136
★「玄米は消化が悪いとよく言われます。これについて国立栄養研究所の実験データがあります。栄養学校の生徒を被験者に1年間にわたって玄米食の実験をしたところ、玄米食を食べたときの排泄量が、白米を食べた場合の2倍も多かったんだそうです。ある先生は消化吸収されないから倍の排泄量になったとみたんですが、食物繊維の抱水能(水を吸収してゲル状になる性質の強さ)を考えると別の結論が出てきます。つまり抱水能の働きで便から水分を取り除かれ過ぎなくてすみ、便のやわらかさが保たれる。便秘になりにくいというわけです」
*仮に指摘されるように消化が悪いとして、どういう悪影響が人体に
およぶのだろうか。消化器官に負担がかる?だったら体力が落ちて
るときには食べない方がいい、ということになるかもしれない。が
、常食は控えるなどと神経質になるほどのことでもない「糠漬けはもっと見直されるべきです。糠にはビタミン・ミネラルなどの微量栄養素が豊富に含まれています。それが糠から野菜に移行します。生の野菜より微量栄養素が豊富になります。しかもわずか2gの糠に2億以上もの乳酸菌が生きています。昔からお腹を壊したときなど、糠床の糠をお湯に溶いて飲む習慣がありました。すばらしい知恵だと思いませんか」p155
★「昔に比べ子供の体が大きくなっています。体が大きいということは、一般に良いことであると受けとめられていますから、小さめのお子さんをお持ちになったお母さんが自分の子は発育が悪いのではないかと心配されて相談にみえるケースが増えてきました。しかし小さいのではないかといって来られたお子さんで異常だった例はほとんどありません。私の目から見ると小さいくらいの方がむしろ正常なのです。本当に心配しなければいけないのは成長が早くて大きなお子さんです。体が大きいということは将来の肥満や成人病に結びつく可能性があるからです」p259-260(参考図書『自然流育児のすすめ』(真弓定夫著・地湧社)の紹介より)
改正税法雑感(住宅取得資金贈与過年度適用者について) 2001年4月13日
細井隆好
a.平成13年度の改正税法が平成13年3月28日、参議院本会議において可決、成立し、同年3月30日付け官報で公布された。企業再編税制(法人税改正)、新住宅ローン減税、贈与税基礎控除の引き上げ(租税特別措置法 改正)など新たな税制度になった。
★b.今回の改正税法の解釈で私(細井)が一番興味を持っているのは、過去4年(平成9年~12年)の間に住宅取得資金贈与の特例計算の適用を受けた人たちが今年贈与を受けたらどうなるか?である。
★c.住宅取得資金贈与の特例計算とは、一定の要件のもとで住宅を取得するための資金の贈与を受けた場合1500万円までの部分について5分5乗方式により贈与税額を計算することができる、というものである(租税特別 措置法第70条の3)。
★d.5分5乗方式とは、贈与を受けた財産の価額を5分の1して税額を計算し、その税額を5倍して納税額を算出する方法で、翌年以降4年間分の連年贈与のメリットを先取り計算することを認めたものである。例えば平成10年に上記措置法の要件を満たす1000万円の贈与があった場合、贈与税は下記の計算式で求められる。
イ.特例計算をしない場合
(1000万円-60万円) ×45%-140万円=283万円
(基礎控除)(課税価額1000万円以下の税率、控除額)
ロ.特例計算をする場合
{(1000万円÷5-60万円) ×10%}×5=70万円
(基礎控除)(課税価額150万円以下の税率)
つまり、1000万円の一括贈与を平成10年、同11年、同12年、同13年、同14年にそれぞれ200万円ずつ贈与があったと読み替えて贈与税計算した金額をまとめて納めてもらえばけっこう、連年贈与による累進税率回避 のメリットを享受させるものである。
★e.上記特例計算は翌年以降4年間分の連年贈与のメリットを先取り計算するものであるから、例えば平成12年に100万円の贈与を受けた場合、前倒し計算してある贈与税のやり直し計算が必要となる。
イ.特例計算をしていない場合
(100万円-60万円) ×10%=4万円
(基礎控除)(課税価額150万円以下の税率)
ロ.特例計算をしていた場合
{(100万円+1000万円÷5)-60万円} ×20%-175千円=305千円
(基礎控除)(課税価額250万円以下の税率、控除額)
305千円-70万円÷5=165千円
(先取り計算で納税済の分)
★f.では平成10年に特例計算の適用を受けた者が平成13年に贈与を受けたらどうなるか?
税理士の飯田修次氏は、基礎控除が60万円から110万円に増えたので差額の50万円が使える(速報税理平成13.3.11、p4)としています(今のところここまで踏み込んだ議論がほかにありません)。差額未満の贈与、例えば30万円の贈与があったら贈与税計算はどうなるか。上記計算式をそのまま当てはめてみると
{(30万円+1000万円÷5)-110万円} ×10%=12万円
(基礎控除)(課税価額150万円以下の税率)
12万円-70万円÷5=△2万円
(先取り計算で納税済の分)
となり、納めた税金が戻ってくるかもしれない、と思ってしまいます。
★g.ここで税理士の思考が止まります。はたして贈与税の還付申告を認めるつもりがある(上記計算式の2万円は戻ってくる)のだろうか。税法が変わったからといって既に納めた税金を返すような仕組みをつくるだろうか、そんなはずはない、とまず結論(還付)を否定します。ぬか喜びに終わったときに困るから、税金が戻るという話は間違ってもしません。取り扱いが明らかになるまで気がつかないことにしよう。そこでfの指摘にとどめたのではないでしょうか。
★h.これから改正立案者の解説や政令、通達、などが出て取り扱いの詳細が明らかになっていきます。そのとき平成13年以降の贈与税申告を先取りした特例適用者たちの税負担がどう取り扱われるか。厳しいものとなるのか、あるいは寛大な扱いになるのか。どういう取り扱いになるにせよ、税法に携わるものにとって興味深い理論付け、根拠が示されると思います。