20世紀を生き抜くための「心」・「技」・「体」その8

「技」佐々木正巳「最低資本金をめぐる諸問題」セミナーより
「心」渡部昇一著「日本語のこころ」(講談社現代新書:1974.10.28初版)より
「体」(菅原明子「栄養学講座」:HADO10月号より)
   (ソンバ-ユ(尊馬油)の広告チラシより)
    (池上正治著「気」で観る人体:講談社現代新書 より)

「技」佐々木正巳「最低資本金をめぐる諸問題」セミナーより

★a.平成3年4月1日から施行された改正商法・有限会社法により最低資本金は株式会社は1,000万円、有限会社は300万円となった。最低資本金に達していないことは会社が違法状態にあるので、強制解散の対象となり、みなし解散実施日の前日までに増資の登記又は組織変更の登記を申請しなければ解散したものとみなされ清算会社になってしまう。

★b.みなし解散実施日は平成8年4月1日以後「みなし解散公告の官報掲載日」から起算して2カ月を経過した日(つまり平成8年6月1日以後)となるが、登録免許税や配当所得の特例などの優遇措置は平成8年3月31日までとなっているため、それまでにクリアしておくのが望ましい。

★c.黒字会社であれば配当金を資本金に組入れることによって最低資本金をクリアできるが(通常、配当には20%の源泉所得税が課税されるが、最低資本金を充たすための利益処分は免除される)赤字会社では配当できない(今期赤字でも別途積立金等を取り崩して累積赤字を解消し配当できればよい)。

★d.赤字会社の場合オーナー等から資金の補填(役員借入金等)を受けていることが多いが、これを資本金に振り替えることによって増資を行い、最低資本金をクリアする方法が佐々木正巳氏より提唱された。

★e.法律的には「現物出資による増資手続」で会社とオーナーとの間の金銭消費貸借契約に基づく金銭債権を資本金の払込に代えて提供し、増資手続完了後、オーナーからの債務と現物出資された債権とが相殺される。

★f.現物出資の場合、原則として裁判所が選任した検査役による検査が必要とされるが現物出資が500万円を超えないときは検査役の検査は不要とされている。従って、500万円以上の増資が必要なときは2回に分けて現物出資をすればよい。手続きとしては、取締役会議事録、臨時株主総会議事録、株式引受証を用意してそれぞれに記名押印すればよい(資本金を払込んで銀行から保管証明をもらう必要もない)。

★ g.役員借入金などを現物出資して最低資本金をクリアするやり方は、税理士で司法書士でもある佐々木氏が平成5年6月7日に申請し、受理されたのが最初で、平成6年7月6日付け法務省による追認がなされている(佐々木正巳著「借入金の資本組入れ」の理論と税務、会社増資実務必携:いずれも東林出版社)

★h.従業員の未払賃金を現物出資することは、労働対価の現金支払の原則に反するのでできない。また、オ-ナ-からの借入金等がないときに貸付金と借入金を両だてして借入金を現物出資することは手続的には可能であるが、資本充実の原則に反する(増資する資金を会社から借りたのでは最低資本金の制度を設けた意味がないし、不実記載で刑法上の問題となる可能性がある)。

★ i.最低資本金を充たさない会社は半年後には強制的に解散させられてしまうが、自己資本が足りない、役員借入金もないというような会社は、事業を継続するだけの価値があるのか、と突き放して考えてみた方がよいかもしれない。

「心」渡部昇一著「日本語のこころ」(講談社現代新書:1974.10.28初版)より

★a.ローマ人が「法」を平等原理とし、キリスト教徒が「神の前に平等」という思想をもっているとすれば日本人は「和歌の前に平等」である。8世紀に成立した「万葉集」全20巻には4500余首の歌が納められているが、その作者たちは上は天皇、大氏族の長から下は兵士、農民、乞食、遊女まで含み、男女の差別もない。地域的にも中央だけでなく、東国、北陸、中国、九州の各地方にまたがっており、帰化人までふくまれる国民歌集である。ここでは身分の別ではなく和歌の出来栄えによって選ばれている。

★b.和歌や俳句は大和言葉を使って詠まれており、漢語が使われることはまずない。大和言葉とは大雑把にいって漢字の訓読みのことで、音読みが漢語と考えるとわかりやすい。明治以後の和歌では漢語やローマ字などの外来語が平気で使われるようになったが、それまでの和歌や俳句には大和言葉だけしか使わないという伝統あるいは慣習があったと考えられる。漢詩や漢文を自由にあやつれる当時の教養人も和歌を詠むとなると大和言葉しか使っていない。

★c.日本語は、大和言葉と漢語の混り方の比率によっていろいろな局面をそれにふさわしく表現する。

(1)大和言葉は柔らかい感じ。漢語は堅い感じ。知的議論は漢語で行う。学術論文では大和言葉は従になる。

(2)心が何かなつかしいものを抱きしめたいような気持ちの時は大和言葉になり、心が野心に満ち、征服的な気持ちになっているときは漢語が多くなる。

(3)魂に、または気負いのない情緒に直接にすうっと触れるようなときは大和言葉になるが、精神が知的に働き、対象との間に距離があるときは漢語が増える。

(4)心が内向的になっているときは大和言葉になり、心が外向的になっているときは漢語を多く使う。

★d.日頃なにげなく使っている日本語であるが、大和言葉と漢語(外来語)に分けて日本語をながめてみると何か新しい発見、これまでと違う人間関係をつくれるかも知れません。

「体」

★a.濃いめの味付けが好きな人は亜鉛不足を疑ってみる・味覚を感知する舌の味らいの中に亜鉛が含まれている。ストレスなどで亜鉛が不足してくると味覚異常になる。味がわからなくなると濃い味を好むようになり、ナトリウム、塩分のとりすぎが喉の渇きをつくり、ジュースなどのガブ飲みによってアドレナリン過剰となり、ビタミン・ミネラルが蓄積されている場所から引き出されて排泄されるという悪循環になりやすい。悪循環サイクルを断ち切るには緑黄野菜や貝類から亜鉛を十分にとって味覚を正常に戻すかストレスや苛立ちを減らしてアドレナリンの出過ぎを減らすことが必要。(菅原明子「栄養学講座」:HADO10月号より)

★b.万能薬「ガマの油」・・その正体は「馬油(ばーゆ)」だった・語源は、武士が可愛がっていた馬が年老いてしまい、屠殺してその油をつくったことから「我馬(ガマ)の油」となったそうです。馬肉の脂肪を蒸し溶かして搾り、和紙でろ過した“馬脂原油”を蒸気洗浄して不純物を除去したものが馬油として商品化されている。効能書きには除菌、血行促進効果があるとされ、火傷、床ずれ、痔、切り傷、化膿傷、洗剤まけ、汗疹、ただれ、虫刺され、股ずれ、口内炎、歯肉炎、ひび割れ、打撲、湿疹、水虫、肩こり、神経痛、腋臭、カミソリ負け、シミ、小じわ、皮膚病などに効用があるという。大道芸人の「口上」になってしまったが、除菌効果のある「ガマ(我馬)の油」の血行促進効果によって人間が本来持っている自然治癒力を促進して治すのであるから「万能薬」ともいえる。(ソンバ-ユ(尊馬油)の広告チラシより)

★c.膝頭の外側から下へ、その人の指4本分のところに「足の三里」と呼ばれるツボがある。針では胃腸の疾患などを治療するためによく用いられるツボの一つで、この三里を押したり、軽くたたいたりすることは、胃のストレス解消につながる。すいている電車であれば、両足を重ねて組むことにより、一方の膝の角で反対の足の三里を刺激することができる。但し、行儀はよくないのでお薦めはしない。(池上正治著 「気」で観る人体:講談社現代新書 より)